⚠️ この記事は2014年7月に書いた当時の記録です。
税率・控除額などの数字は現在と異なります。「当時こう理解していた」という記録として残しています。
「確定拠出年金制度を改めて考えてみる(1)」では確定拠出年金の概要・拠出時の税制メリットを解説しました。今回は運用時・給付時の税制メリットと個人年金保険との比較を解説します。
1. 運用時の税制メリット
確定拠出年金での運用中に得られた利益(キャピタルゲイン)は全額非課税です。通常の資産運用では利息・配当所得に20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金ではこれがゼロになります。
定期預金での比較
| 預金額 | 利率 | 利息 | 税金 | 税引後利益 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 通常の定期預金 | 1,000,000円 | 0.03% | 300円 | 60円 | 240円 |
| 確定拠出の定期預金 | 1,000,000円 | 0.03% | 300円 | 0円 | 300円 |
利率が低いため1年では差は小さいですが、これが10年・20年と積み重なると差が広がっていきます。
投資信託(期待リターン3%)での比較
| 預金額 | 期待リターン | 利益 | 税金 | 税引後利益 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 通常の投資信託 | 1,000,000円 | 3% | 30,000円 | 6,094円 | 23,906円 |
| 確定拠出の投資信託 | 1,000,000円 | 3% | 30,000円 | 0円 | 30,000円 |
1年だけでも約6,000円の差が生まれます。
5年間複利運用した場合の差
通常の投資信託(毎年利益確定・再投資)
| 元本 | 期待リターン | 利益 | 税金 | 税引後利益 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000,000円 | 3% | 30,000円 | 6,094円 | 23,906円 |
| 1,023,906円 | 3% | 30,717円 | 6,240円 | 24,477円 |
| 1,048,383円 | 3% | 31,451円 | 6,389円 | 25,062円 |
| 1,073,445円 | 3% | 32,203円 | 6,542円 | 25,661円 |
| 1,099,106円 | 3% | 32,973円 | 6,698円 | 26,275円 |
5年後の最終利益:125,381円
確定拠出年金の投資信託(同条件)
| 元本 | 期待リターン | 利益 | 税金 | 税引後利益 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000,000円 | 3% | 30,000円 | 0円 | 30,000円 |
| 1,030,000円 | 3% | 30,900円 | 0円 | 30,900円 |
| 1,060,900円 | 3% | 31,827円 | 0円 | 31,827円 |
| 1,092,727円 | 3% | 32,781円 | 0円 | 32,781円 |
| 1,125,508円 | 3% | 33,765円 | 0円 | 33,765円 |
5年後の最終利益:159,273円
差額:33,892円。5年間で約3.4万円の差です。これが10年・20年・30年になれば差はさらに広がります。
2. 個人年金保険との比較
確定拠出年金と似た老後の備えとして「個人年金保険」がよく比較されます。
| 比較項目 | 確定拠出年金 | 個人年金保険 |
|---|---|---|
| 所得控除の種類 | 小規模企業共済等掛金控除(全額控除) | 生命保険料控除(上限あり) |
| 控除上限 | 上限なし(全額) | 所得税4万円・住民税2.8万円まで |
| 運用益 | 非課税 | 課税(一時所得または雑所得) |
| 途中解約 | 原則60歳まで不可 | 解約可能(元本割れの可能性あり) |
| 受取時の控除 | 退職所得控除 or 公的年金等控除 | 一時所得 or 雑所得として計算 |
控除の種類と上限の差が大きく、同じ金額を積み立てても節税効果は確定拠出年金の方が圧倒的に有利です。個人年金保険の生命保険料控除は上限が低いため、拠出額が大きくなるほどこの差は広がります。
3. 給付時のメリット
老齢一時金(退職金)として受け取る場合
一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
退職所得控除の計算式(当時)
勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数
勤続年数20年超 :800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)
30年勤続・所得税率20%・退職金2,000万円の場合
退職所得控除額:800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
課税退職所得:(2,000万円 − 1,500万円)× 1/2 = 250万円
所得税:250万円 × 20% − 427,500円(控除額)= 72,500円
復興特別所得税:72,500円 × 2.1% ≈ 1,522円
住民税:250万円 × 10% = 250,000円
合計税額:約324,022円
2,000万円の退職金に対して税額は約32万円。実効税率は約1.6%という水準です。通常の所得税率(20%)と比べると優遇の大きさがわかります。
老齢年金(年金)として受け取る場合
年金形式で受け取ると公的年金等控除が適用されます。
65歳未満の控除計算式(当時)
| 年金収入 | 控除額 |
|---|---|
| 70万円以下 | 全額控除 |
| 70万円超〜130万円未満 | 収入 − 70万円 |
| 130万円〜410万円未満 | 収入 × 75% − 37.5万円 |
| 410万円〜770万円未満 | 収入 × 85% − 78.5万円 |
| 770万円以上 | 収入 × 95% − 155.5万円 |
65歳以上・年金収入240万円の場合
控除額:240万円 × 75% − 37.5万円 = 142.5万円
課税所得:240万円 − 142.5万円 = 97.5万円
所得税(5%):97.5万円 × 5% = 48,750円
住民税(10%):97.5万円 × 10% = 97,500円
合計税額:約146,250円
年収240万円(月20万円)に対して税額は約14.6万円。年間受取額の約6%程度の税負担となります。
一時金と年金の併用
一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。それぞれの控除を活用しながら受け取り方を最適化できる点が確定拠出年金の柔軟性のひとつです。
まとめ(2014年当時の感想)
拠出時・運用時・給付時の3段階すべてで税制優遇を受けられる確定拠出年金は、長期の資産形成において非常に有利な制度だと理解しました。
当時私が特に衝撃を受けたのは「節税効果が即時確定するリターン」という考え方でした。リスクゼロで数十%のリターンが拠出と同時に確定するのは、他のどの運用方法でも実現できません。
一方で「途中解約できない」「転職時の移管リスク」という制約があることは変わりません。それでも今思えば、この制約こそが「使ってしまう」という自分の弱点を封じる仕組みになっていたとも感じています(笑)。
📝 後日談
この記事から約12年。実際にどんな運用商品を選んで、どんな成果になったか——それは別の記事でまとめていく予定です。
⚠️ 免責事項
本記事は2014年当時の制度・数字に基づいており、現在の制度とは異なる部分があります。実際の判断は最新の公式情報をご確認ください。



コメント