こんにちは、れもん丸です。
月5万円を年利5%で積み立てれば、約12年で1000万円、約25年で3000万円に届く計算です(一定利回りを仮定した試算)。理屈のうえでは、庶民でも堅実に続ければまとまった資産は作れるはずです。
ところが現実には、十分な資産を作れている人はごくわずか。その背景には、日本という国の構造や仕組み、そして多くの人が陥る行動パターンがあります。ここを理解していないために、結局お金で苦労する人が非常に多いんですよね。
今回は、大半の日本人が十分な資産を作れない理由を5つに分け、そのうえで抜け出すための対策を3つ解説します。少し耳の痛い話も含みますが、構造を知ることが、抜け出す第一歩になります。
📌 この記事でわかること
- 純金融資産3000万円未満の「マス層」は全世帯の約8割という現実
- 人生最大の支出は家でも教育でもなく社会保険料(生涯1億円近く)だという事実
- 「共働きが増えた」の裏にある、フルタイム共働きは横ばいという実態
- 資産形成を阻む「普通のコスト(生涯1億数千万円)」と、貯蓄の目的の落とし穴
- マス層から抜け出すための3つの具体的な対策
目次
- 前提:マス層は全世帯の約8割
- 理由1:歪な再分配構造
- 理由2:共働きの現実
- 理由3:「普通」のコスト
- 理由4:貯蓄の目的
- 理由5:労働収入への依存
- 抜け出すための3つの対策
- まとめ:構造を知れば、対策できる
- FAQ / よくある質問
- 関連記事
1. 前提:マス層は全世帯の約8割
野村総合研究所(NRI)の「資産ピラミッド」(2023年)によると、純金融資産の保有額で見た世帯の分布はこうなっています。
| 階層 | 純金融資産 | 世帯数 |
|---|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 | 約11.8万世帯 |
| 富裕層 | 1億〜5億円 | 約153.5万世帯 |
| 準富裕層 | 5,000万〜1億円 | 約403.9万世帯 |
| アッパーマス層 | 3,000万〜5,000万円 | 約576.5万世帯 |
| マス層 | 3,000万円未満 | 約4,424.7万世帯 |
最下層のマス層(3000万円未満)が約4,425万世帯で、全世帯の約8割を占めます。つまり、十分な資産を作れていない人が圧倒的多数派なのが現実です。
しかも、日本の家計金融資産の多くは高齢者世帯が保有しています。アッパーマス層以上も高齢者が多いと考えるのが自然で、現役のうちに一定の資産を築くハードルは相当高いと言えます。ではなぜ、多くの人はマス層から抜け出せないのか。その理由を5つ見ていきましょう。
2. 理由1:歪な再分配構造
突然ですが、人生最大の買い物は何だと思いますか。マイホーム、教育費、車……いろいろ思い浮かびますが、多くの場合の答えは社会保険料です。
大卒サラリーマン男性の生涯賃金は、65歳まで働くと退職金を除いて約2.8億円とされます。現在、社会保険料の負担率は労使合わせてざっと30%程度。単純計算で、生涯で1億円近い社会保険料を払うことになります。税金(所得税・住民税)と合わせれば、その負担は1億円を優に超えてきます。
「社会保険料の半分は会社負担では?」と思うかもしれません。でも企業から見ればそれも人件費。本来あなたが受け取れたはずのお金、とも言えます。
日本の社会保障は、受益は高齢者に、負担は現役世代に偏っているという特徴があります。
| 世代 | 立場 |
|---|---|
| 高齢世代 | 昭和の高成長やバブル後の雇用維持の恩恵を受けた人も多い/受益側 |
| 現役世代 | デフレ・不況の打撃を受けつつ、重い負担を担う/負担側 |
もちろん高齢者にも苦しい人はいて、世代間の分断を煽る意図はありません。ただ全体で見れば、余裕のない現役世代が、比較的余裕のある高齢世代を支える構造になっている。しかも高齢化で医療費などが増え、その仕送り額は年々増えています。この歪な再分配によって現役世代の手取りは減り、資産形成の難易度も上がってしまうわけです。
3. 理由2:共働きの現実
「でも今は共働きが増えたから、2人で稼げば資産形成できるのでは?」——そう思う方も多いでしょう。確かに2馬力なら資産は作りやすくなります。ただ、ここで理解したいのが共働きの実態です。
共働き世帯の数は確かに増え、専業主婦世帯を大きく上回りました。しかし「共働き」の定義は広く、妻が週1回のパートでも共働きに含まれます。
フルタイム同士の共働き世帯数は、1980年代からほぼ横ばい。増えているのは、主に「妻がパートで働く世帯」です。
令和の今も、家事や育児は主に女性が担っているケースが多く、女性がフルタイムで働きながら家事育児の大半をこなすのは、現実的に難しい面があります。
しかも、です。男性の収入自体が、この四半世紀で多くの年齢層で減少しています(国税庁の統計で1997年と2023年を比べると明らか)。経済成長の停滞や残業抑制が背景にあると見られます。社会保険料の負担は増し、物価も上がっている。この状況では、妻がパートで働いても、家計にそこまでの余裕は出にくい。これが多くの世帯が十分に貯蓄できない理由の一つです。
4. 理由3:「普通」のコスト
3つ目は、「普通」のコストです。マイホームを買う、一家に1台マイカーを持つ、子どもを大学まで出す——多くの人が当たり前のようにこれらに「課金」しますが、そのせいで貯めるのが難しくなります。
普通の人生にかかる支出を並べると、その重さがわかります。
| 項目 | おおよその生涯コスト(目安) |
|---|---|
| 住居費(マイホーム) | 6,000万〜1億円 |
| 教育費(子1人) | 約800万(全公立)〜2,000万円超(全私立) |
| 車(生涯) | 約4,000万円(普通車の場合) |
| 保険料 | 約1,400万円 |
合計すると1億数千万円。先述の通り、税・社会保険料で莫大な額を引かれたうえに、これだけ「普通」に使い、さらに食費や娯楽費もかかる。限られた手取りでこれでは、資産を作る余裕はなかなか出ません。
そしてもう一つ重要なのが、「普通」は周囲の環境に強く影響されるということです。
周りの近しい人がみんな高級ミニバンに乗っていれば、それが自分の「普通」になる。中学受験も、海外旅行も同じ。いわば「普通の基準のインフレ」です。
高収入でもあまり貯金できない人がいる理由は、ここにあるのかもしれません。周囲の「普通」に流されると、収入が増えても支出も一緒に膨らんでしまうのです。
5. 理由4:貯蓄の目的
4つ目は、貯蓄の目的です。あなたはなぜ貯金をしていますか。
世の中の多くの人は、消費・浪費のために貯蓄をします。マイホームの頭金、車の購入資金、結婚式や旅行の費用——といった具合です。
この場合、目標金額に達したら一気に大部分がなくなります。そして目的を失うと、その後は貯蓄がはかどらなくなったり、「200〜300万円あるから大丈夫」と収入の大半を使う生活に戻ったりする。これでは資産は増えません。
| 貯蓄のタイプ | その後 |
|---|---|
| 消費目的の貯蓄 | 目標達成で大部分が消え、再び貯まりにくくなる |
| 自由・安心のための貯蓄 | 使わずに積み上がり、余裕と選択肢が増えていく |
ただ、これは仕方ない面もあります。人間は本能的に「今」を重視する生き物で、使わない資産がもたらす自由や安心は、目に見えず実感しにくいからです。短期の目的のために貯金を頑張り、達成したら使う——のは自然な行動でもあります。とはいえ、消費のための貯蓄という思考のままでは、いつまでも余裕は出ません。目的を持って貯めるのは良いことですが、達成後も資産形成をやめないことが大切です。
6. 理由5:労働収入への依存
5つ目は、労働収入だけに依存していることです。
新NISAが始まり投資が広がりつつありますが、現実にはまだ投資をしていない人が圧倒的多数です。金融庁の調査では、NISA口座のうち実際に使われていない口座(未稼働)も相当数あるとされ、NISAを活用して投資している人は、成人人口から見ればまだ一部にとどまります。
つまり多くの人が、労働収入1本で生活し、資産は現預金中心で持っている。これも富を築けない要因です。今の時代、銀行預金では金利はほとんどつかない一方、インフレは進んでいるため、現金の実質的な価値は目減りしていきます。
会社の利益は基本的に株主のもの。一般社員の収入が大きく伸びるのは現実的に考えづらい。実際、株価や配当は伸びても、物価を考慮した実質賃金はここ数年マイナス圏が続いています。
これはまさに、経済学者ピケティが示した「r > g(資本のリターンは労働の成長を上回る)」の通りの状況です。適切な投資をせず労働収入1本に依存する人が多い以上、大半の人が十分な資産を作れないのは、ある意味で当然とも言えます。
7. 抜け出すための3つの対策
ここまで厳しい現実を見てきましたが、正しい対策ができれば、普通の人でもマス層を抜け出せます。アッパーマス層(3000万円超)、さらには準富裕層(5000万円超)も十分に狙えます。対策は3つです。
① お金について自ら学ぶ
誤った判断をしてしまう根本原因は、リテラシーの欠如です。社会保険への無関心、不要な民間保険、長期設計のない浪費、「投資はギャンブル」という思い込み——これらはすべて知識不足から生まれます。
お金については学校でも家庭でもあまり教わりません。でも「仕方ない」で済ませては何も変わりません。知識は本物の武器です。自ら学び、行動し続けた先に、明るい未来があります。
② 資産形成の方針転換
従来の日本人は「マイホーム+貯金」中心で資産形成してきました。でも人口減少社会では、都心の一部を除いて不動産価格の下落が予想され、値上がりする優良物件を庶民が買うのは困難です。
| 従来型 | これから |
|---|---|
| マイホーム+貯金中心 | 株式(インデックスファンド)中心 |
全世界株式などの低コストなインデックスファンドを長期保有すれば、複利効果で資産が育つことが期待できます(年5〜7%程度は過去傾向で、将来保証ではありません)。誰でも同じものを買えるので、再現性が高いのも利点です。
③ 生活設計の最適化
「富の方程式」をご存じでしょうか。
資産形成 =(収入 - 支出)+ 資産 × 運用利回り
このうち運用利回りは、インデックス投資で市場平均以上を狙うのは現実的でありません。つまり庶民が資産を作るうえでは、「収入 - 支出」の最大化が何より大事です。
| 打ち手 | 具体策 |
|---|---|
| 収入を増やす | 夫婦で家事育児をシェアしてフルタイム共働きにする |
| 支出を減らす | 住居費・教育費・車代に優先順位をつけて最適化する |
| 判断軸を持つ | 周囲の「普通」に惑わされず、自分たちはどうありたいかを基準にする |
これができれば、長期的に大きな資産を築けます。
8. まとめ:構造を知れば、対策できる
最後に、5つの理由と3つの対策を整理します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 理由1 | 歪な再分配構造(現役世代の重い負担) |
| 理由2 | 共働きの現実(フルタイム共働きは横ばい) |
| 理由3 | 「普通」のコスト(周囲に流される支出) |
| 理由4 | 貯蓄の目的(消費目的だと貯まらない) |
| 理由5 | 労働収入への依存(現金は目減りする) |
| 対策1 | お金について自ら学ぶ |
| 対策2 | 株式中心への方針転換 |
| 対策3 | 生活設計の最適化(収入−支出の最大化) |
日本の8割がマス層という事実が示す通り、十分な資産を作れない人が多数派です。でも、その要因を理解して適切に対策すれば、平均的な人でも資産を築くことは十分可能です。現実は厳しい部分もありますが、自分次第で対応できる場面は多いですし、新NISAなど環境も整ってきています。
周囲の「普通」に流されず、現実を見つめて合理的に判断する。これができれば、マス層からの脱出は決して夢ではありません。一緒にコツコツ、頑張っていきましょう。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
⚠️ 本記事は公的統計に基づく一般的な情報提供および個人の見解の共有を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。記載の試算は一定の前提に基づくもので、将来の成果を保証しません。投資は元本割れのリスクを伴い、自己責任で行ってください。
FAQ / よくある質問
Q. マス層が8割なら、抜け出すのは無理では?
いいえ。8割が抜け出せていないのは「構造を知らず、対策していない」ことが大きな要因です。逆に言えば、構造を理解して正しく対策すれば、平均的な人でも上位層に移れる余地は十分あります。実際、近年は会社員が投資を通じて資産を増やす例も増えています。
Q. 社会保険料は減らせないのに、知っても意味がありますか?
社会保険料そのものは簡単には減らせませんが、「これだけ引かれている」と知ることで、残った手取りの使い方への意識が変わります。また高額療養費制度などの公的保障を理解すれば、不要な民間保険を削れます。知識は確実に家計の改善につながります。
Q. 共働きが難しい家庭はどうすればいいですか?
フルタイム共働きが難しくても、支出の最適化と投資の活用で資産形成は可能です。固定費(住居・通信・保険・車)の見直しは、収入を増やすのと同じ効果があります。世帯の状況に合わせ、できるところから手をつけましょう。
Q. 今からマイホームを買うのは間違いですか?
一概には言えません。住まいには資産性だけでなく、住み心地や安心といった価値もあります。大切なのは「普通だから」で判断せず、資産形成への影響を理解したうえで、自分にとっての優先順位で決めることです。


コメント