【確定拠出年金】確定拠出年金制度を改めて考えてみる (2)

確定拠出年金

確定拠出年金を始めようとしたタイミングで「確定拠出年金のメリットとデメリット」を書きましたが、その後色々と自身でも勉強したこともあり改めて纏めてみようと思います。
前回書いた「【確定拠出年金】確定拠出年金制度を改めて考えてみる (1)」の続きとなります。

運用時

確定拠出年金での運用中に得られた利益 (キャピタルゲイン) は全額非課税となります。話を単純にするため、定期預金を例にして説明します。

通常の資産運用で例えば定期預金を行った場合、当然利息が得られますが、その利息に対する税金 (源泉分離課税の源泉徴収) がかかり、その税金分を引いた額が口座に入ります。
こういった利息、配当所得にかかる税率は一律20%ですが、こちらも復興特別所得税の0.315%が追加され、現在は20.315%となっています。

確定拠出年金では、その税金がかからずに利息収入を得ることが出来ます。この2つを比較した場合の利息収入の差はこの表のとおりとなります。

1,000,000円を1年間定期預金として預けた場合

預金額預金利率利息税金税引後利益
通常の定期預金1,000,000円0.03%300円60円240円
確定拠出の定期預金1,000,000円0.03%300円0円300円

定期預金の利率が低い為、最終的な収入の差は60円とあまり差を感じないかもしれませんが、それでもこれを10年続けた場合は差が広がっていきます。

少しリターンを狙った投資を行うとして、投資信託を利用した場合を考えてみましょう。期待リターンを3%とした場合とした場合はこのようになります。

1,000,000円を1年間投資信託で運用した場合

預金額期待リターン利益税金税引後利益
通常の投資信託1,000,000円3%30,000円6,094円23,906円
確定拠出の投資信託1,000,000円3%30,000円0円30,000円

いかがでしょうか。1年間だけでも約6,000円の差が出る計算となります。
そして、これを5年運用するとした場合かつ、複利計算を考慮するとここまで差が出てきてしまいます。
(この例は、毎年利益を確定して再投資を行ったた場合としてとらえてください)

1,000,000円を通常の投資信託で5年運用した場合

元本期待リターン利益税金税引き後利益
1,000,000円3%30,000円6,094円23,906円
1,023,906円3%30,717円6,240円24,477円
1,048,383円3%31,451円6,389円25,062円
1,073,445円3%32,203円6,542円25,661円
1,099,106円3%32,973円6,698円26,275円

5年後の最終的な利益は99,106円+26,275円=125,381円となります。

1,000,000円を確定拠出年金の投資信託で5年運用した場合

元本期待リターン利益税金税引き後利益
1,000,000円3%30,000円0円30,000円
1,030,000円3%30,900円0円30,900円
1,060,900円3%31,827円0円31,827円
1,092,727円3%32,781円0円32,781円
1,125,508円3%33,765円0円33,765円

5年後の最終的な利益は、125,508円+33,765円=159,273円と、通常の運用と比較して33,892円の利益差が生まれます。
これらの例はとても単純化していますが、通常の運用と比較しても運用時の非課税効果をイメージ出来るのではないでしょうか。
また、確定拠出年金の場合、多くの投資信託商品は確定拠出専用の商品をラインナップしています。
一例として、以下掲載いたします。

ファンド名カテゴリ購入時手数料信託報酬
三菱UFJ DCトピックスオープン確定拠出年金用無料0.27%
三菱UFJ トピックスオープン一般用最大2.16%0.6696%

この2つのファンドの手数料差は0.4%程度です。当然ですが手数料や信託報酬は低ければ低いほどリターンを得やすくなります。
老後資産としての運用を考えているのであれば、なおさら積極的に確定拠出年金制度を利用したほうが期待リターンは高いと考えられるのではないでしょうか。

確定拠出年金の税制メリット

個人年金保険と比較してみる

個人年金保険は老後に向けた資産形成の方法として (良し悪しはともかく) メジャーだと思います。これらも控除が受けられ節税効果がある触れられていますし、他のサイトでも比較としてあげられます。

では、節税効果としてどの位の効果があるのかですが、個人年金保険で受けられる控除は、所得税の控除で最大40,000円、市民税で28,000円です。
所得控除から、実際に税金の控除額がどの程度得られるのか表にしてみました。

課税所得額所得税率所得税控除額市民税率市民税控除額節税額
195-330万円12.1%4,840円10%2,800円7,640円
330-695万円22.1%8,840円10%2,800円11,640円
695-900万円25.1%10,040円10%2,800円12,840円
900-1800万円35.1%14,040円10%2,800円16,840円

比較参考の為、前回紹介させて頂いた「確定給付型を実施している企業(毎月27,500円、年間330,000円拠出時)」を掲載させて頂きます。

課税所得額所得税率所得税控除額市民税率市民税控除額節税額
195-330万円12.1%39,930円10%33,000円72,930円
330-695万円22.1%72,930円10%33,000円105,930円
695-900万円25.1%82,830円10%33,000円115,830円
900-1800万円35.1%115,830円10%33,000円148,830円

いかがでしょうか。
得られる節税額には大きな差があります。控除額が違う為、ストレートに最終的な節税額に差が出てしまいます。
個人年金保険が無駄だというつもりは全くありませんが、同じ目的での資産形成を考えるのであれば、確定拠出年金を第一にしてさらに余剰資産はNISAで積み立てる。という方法が無難なのではないでしょうか。

給付時のメリット

確定拠出年金の給付は2とおりの方法があります。老齢一時金(退職金)もしくは、老齢年金(年金)としてです。退職金として受け取る場合は退職所得控除の対象となり、年金として受け取る場合には公的年金等控除の対象となります。

老齢一時金(退職金)として受け取る場合の税金

退職金として受け取る場合、退職所得控除が適用されます。退職所得控除は勤続年数によって控除額が変わります。確定拠出年金制度上の勤続年数とは拠出期間で計算されますので、転職をしても確定拠出年金を引き継いで継続した場合、勤続年数のリセットは無くそのままカウントされます。

ただし、個人型等への移管を怠って国民年金基金連合会が預かっている状態の場合は勤続年数のカウントは停止してしまいます。「【確定拠出年金】確定拠出年金制度を改めて考えてみる (1)」でも説明しているとおり、デメリットしかありませんので、必ず即移管を行う事を心がけましょう。

実際の控除額は次の表のとおりとなります。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円x勤続年数 (80万に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円x(勤続年数-20年)

実際に退職金にどの程度税金がかかるのか試算してみます。

30年勤続、所得税率が20%の人が退職金として2000万円を受け取った場合

控除額 = 800万円+70万円x(30年ー20年)=1,500万円
課税所得金額 = (2,000万円ー1,500万円)÷2 = 250万円
所得税額 = 250万円x20% = 50万円

と、50万円が所得税額として徴収される事となります。実際には復興特別所得税や住民税も課税されます。

老齢年金(年金)として受け取る場合の税金

年金として受け取る場合は、公的年金等控除が適用されます。
こちらは勤続年数は関係なく、年間の年金収入額に応じて控除が適用されます。控除の計算は65歳を境に2つの計算式があります。

65歳未満の場合の控除計算式

公的年金等の収入合計額割合控除額
0円~700,000円全額控除
700,001円~1,299,999円100%700,000円
1,300,000円~4,099,999円75%375,000円
4,100,000円~7,699,999円85%785,000円
7,700,000円~95%1,555,000円

65歳以上の場合の控除計算式

公的年金等の収入合計額割合控除額
0円~1,200,000円全額控除
1,200,001円~3,299,999円100%1,200,000円
3,300,000円~4,099,999円75%375,000円
4,100,000円~7,699,999円85%785,000円
7,700,000円~95%1,555,000円

実際にどの程度の税金がかかるのか試算してみます。年金収入は雑所得となりますので、税額は5%です。

65歳以上、毎月20万、年額240万の年金収入がある場合

雑所得額 = 2,400,000円x75%ー375,000円 = 1,425,000円
税金額 = 1,425,000x5% = 71,250円

年金収入は、国民年金等の公的年金の給付と合算となりますので確定拠出年金の給付やそれ以外の給付を合算すると結構な額になる場合もあります。

老齢一時金(退職金)と老齢年金(年金)を併用する場合の税金

老齢一時金(退職金)での給付と老齢年金(年金)の給付は併用可能です。税金はそれぞれの給付方法に従って課税されます。
したがって、税金を意識しつつ無駄の無い給付方法を考える事も必要です。
例えば、2000万円が確定拠出年金の運用成果だとした場合、勤続30年だと上述のとおり1,500万円まで控除対象ですのでこの範囲に収まる退職金給付を。以降は年金給付として税金を意識した年額にする。なんて事も可能です。

とはいえ、税金ばかり意識してもしょうがなく、どういった生活をしていくのかという所も加味して決めて行くことが良いのかと思います。

以上、確定拠出年金について改めて調べなおした結果となります。自身にとって給付はまだ先の事なので後半はダレましたね…

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