【買い物の心理術③】「極端回避性」——「松・竹・梅」の中間を選んでしまう心理の罠

お金の知識
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こんにちは、れもん丸です。

回転寿司で「松5,000円・竹3,000円・梅1,500円」のコースを見たとき、迷わず竹を選んでいませんか?

サブスクサービスの「プレミアム・スタンダード・ベーシック」という3プランで、なんとなくスタンダードを選んでいませんか?

これは「賢い判断」ではなく、企業が意図的に設計した「真ん中に誘導する仕掛け」にはまっている可能性があります。

📌 この記事でわかること

  • 「なんとなく真ん中(竹)」を選ぶのは極端回避性という心理の働き
  • 企業が中間プランに最も利益率の高い商品を置く理由(松20%・竹50%・梅30%)
  • 高額な「松」を置いて竹を割安に見せるおとり効果(デコイ効果)の仕組み
  • サンクコスト・一貫性・損失回避と組み合わさると抜け出しにくくなる構造
  • 「まず梅から試す」だけで複数サブスクなら年間約2万円以上の差が出る試算

目次

  1. 極端回避性(松竹梅の法則)とは
  2. 企業が「竹」を最も売りたい理由
  3. さらに巧妙な「おとり効果」
  4. 行動経済学の他の法則との組み合わせ
  5. 「一番下を選ぶ」ことの節約シミュレーション
  6. 対策:「まず梅から」の思考法
  7. まとめ:「竹」は企業が最も売りたい選択肢

1. 極端回避性(松竹梅の法則)とは

極端回避性(エクストリーム・アヴァージョン)とは、複数の選択肢が提示された際に、最も高いものや最も低いものといった極端な選択肢を避け、中間の選択肢に落ち着く傾向を指す行動経済学の概念です。欧米ではゴルディロックス効果とも呼ばれ、日本の松竹梅の法則と本質的に同じ心理を表しています。

人はものごとを判断する際、絶対的な価値ではなく相対的な比較で考える傾向があるため、「一番高いものは魅力的だがリスクも大きい、しかし一番安いものでは品質や満足度に不安が残る」と感じがちです。その結果、両極端を避けて間を取った選択をしやすくなります。

なぜ人は真ん中を選ぶのか

真ん中が選ばれやすいのは、次の2つの心理が同時に働くためです。

選択肢働く心理
一番高いもの(松)「自分には贅沢」「失敗したときのがっかり感が大きい」
一番安いもの(梅)「ケチだと思われないか」という見栄
真ん中(竹)「失敗の損失が少ない」かつ「世間体も保てる」

その比率は「松=2:竹=5:梅=3」とも言われています。つまり真ん中を選ぶのは「最もお得だから」ではなく、「最も安心できるから」という心理によるものです。


2. 企業が「竹」を最も売りたい理由

選ばれにくい選択肢を盛り込むことで意図する選択肢に促しやすくなると言われており、一般的には「松=20%・竹=50%・梅=30%」の目安に収束するとされます。

企業はこのデータを知っています。だから「竹(中間)」に最も利益率の高い商品・プランを設定するのです。

「竹」は「松より安くてお得感がある」「梅より高いから品質も安心」という両方の印象を同時に与えられるため、説明なしに選ばれやすい最強のポジションです。


3. さらに巧妙な「おとり効果」

極端回避性をさらに強化する手法が「おとり効果(デコイ効果)」です。

価格設定でのおとり効果

たとえば、もともとランチが「1,000円・1,500円・2,000円」の3段階だったとします。ここで企業が2,000円のプランを3,000円に値上げするとどうなるか。

変更前変更後
梅:1,000円梅:1,000円
竹:1,500円竹:1,500円 ← 選ばれやすくなる
松:2,000円松:3,000円(おとり)

「3,000円の松に比べたら、1,500円の竹はすごくリーズナブルに見える」——この錯覚を意図的に作り出しているのです。実際には竹の中身は何も変わっていません。

サブスク・プラン選択での典型例

現代で最も多くこの仕掛けに出会うのが、サブスクサービスのプラン選択です。

プラン月額内容(例)
ベーシック980円広告あり・1画面
スタンダード1,490円広告なし・2画面 ← 竹として誘導
プレミアム1,980円広告なし・4画面・4K対応

「スタンダードとプレミアムの差が500円しかない」「ベーシックは広告がついてしまう」——この構造が、スタンダードへの誘導を自然に作り出しています。


4. 行動経済学の他の法則との組み合わせ

極端回避性は単体でも強力ですが、他の心理術と組み合わさるとさらに抜け出しにくくなります。

① サンクコスト効果との組み合わせ

「竹のプランに申し込んで1ヶ月使った後、思ったより使っていない」と気づいても、「もう料金を払ったから元を取ろう」と使い続けてしまう——これがサンクコスト(埋没費用)効果です。「真ん中を選んでしまった」という判断ミスを、サンクコストがさらに長引かせます。

② コミットメントと一貫性の組み合わせ

一度「スタンダードを選んだ自分」という認識を持つと、「ダウングレードするのは負けのような気がする」という一貫性への圧力が働きます。「なんとなく真ん中を選んだ」だけなのに、それを正当化し続けてしまうのです。

③ 損失回避との組み合わせ

「ベーシックにしてもし不満だったら……」という損失への恐れが、より高いプランへの誘惑を生みます。損失回避バイアスが「一段上の保険」として、真ん中〜上位プランへの移動を後押しします。


5. 「一番下を選ぶ」ことの節約シミュレーション

では、「真ん中ではなく一番下から始める」戦略を取ると、実際にどれだけ違いが出るのでしょうか。

動画配信サービスの例(月額500円の差)

選択月額年間5年間
スタンダード(竹)1,490円17,880円89,400円
ベーシック(梅)で試す980円11,760円58,800円
差額510円6,120円30,600円

「まず下から試す」だけで5年間で約3万円の差。 ベーシックで十分なら、その差はそのまま節約になります。

複数のサブスクに適用すると

サービス真ん中を選んだ場合下から始めた場合年間差額
動画配信1,490円980円6,120円
音楽配信980円無料プラン11,760円
クラウドストレージ400円無料枠内で使用4,800円
合計約22,680円/年

「なんとなく真ん中」を選び続けるだけで、年間2万円以上の差が生まれることもあります。


6. 対策:「まず梅から」の思考法

① 一番下の内容を先に確認する

3択を見たとき、最初に確認するのは「梅(最安値プラン)の内容」にしましょう。多くの場合、企業はリピーターを獲得したいため、最下位プランでも最低限の満足度は確保されています。

② 「梅で不満なら上げる」の順番で判断する

最初から「竹は安心」と考えず、「梅で試して足りなければ上げる」という順番で判断します。下から上げる選択は、いつでもできます。

③ 「なぜ真ん中を選ぼうとしているのか」を自問する

真ん中を選ぼうとしているとき、その理由を言語化してみましょう。「品質に不安があるから」「恥ずかしいから」という理由なら、それは極端回避性の影響を受けている可能性が高いです。


7. まとめ:「竹」は企業が最も売りたい選択肢

観点ポイント
極端回避性の正体失敗リスクと見栄の両方を避けるために真ん中を選ぶ
松竹梅の比率松20%・竹50%・梅30%に収束するとされる
おとり効果高額の「松」を設定することで、「竹」が割安に見える
組み合わせる心理サンクコスト・一貫性・損失回避でさらに抜け出しにくくなる
節約シミュレーション「真ん中から下」に切り替えるだけで年間2万円以上の差も
対策まず梅の内容を確認する。足りなければ上げる判断をする

「竹」が最もお得な選択肢である保証はどこにもありません。それは単に「企業が最も売りやすいプラン」です。

「なんとなく真ん中」をやめて「まず梅を確認する」——これだけで、毎月・毎年の支出が静かに変わっていきます。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。行動経済学・心理学の知識を活用し、自分自身の消費行動を振り返る参考としてご活用ください。


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れもん丸

40代サラリーマンとして、過去にリボ払い・住宅ローン・自動車ローンなどの失敗を経験し、家計が大きく圧迫された時期を経て、現在は節約と資産形成に取り組んでいます。

貯蓄がほぼゼロの状態から、固定費の見直しや投資(NISA・確定拠出年金)を活用し、家計改善と資産形成を継続中です。

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